収入印紙とは?領収書や契約書に貼る際の金額や購入場所、貼り方など徹底解説

監修者:川口 拓哉(税理士)更新日:2023年3月14日

収入印紙とは?領収書や契約書に貼る際の金額や購入場所、貼り方など徹底解説

この記事では「収入印紙について基本的なところから知りたい」という方に向けて、そもそも収入印紙とは何か、どんな場面でどのように使うのか、どこで買うことができるのかといった事項を基礎から丁寧に解説します。

収入印紙の基礎知識

収入印紙の基礎知識

まずは収入印紙の基礎知識を解説します。収入印紙とは何か、どのような役割を持っているのか、どのような場面で必要になるのか、以下、順を追ってみていきましょう。

収入印紙とは

収入印紙とは、税金や各種手数料を国へ支払うために使用する証票です。見た目は郵便物に貼る「切手」に似ており、税金の納付書や手数料の支払書に収入印紙を貼って提出することで、税金や手数料の納付が完了します。

収入印紙と混同されやすい証票に「収入証紙」があります。収入印紙と収入証紙の違いは、税金の納付先にあります。収入印紙は国への納付時に使うもので、収入証紙は都道府県や市区町村といった地方公共団体への納付時に使用します。

収入印紙を使う身近な場面として、領収書や契約書といった「課税文書」の作成があります。課税文書を作成すると「印紙税」がかかりますが、印紙税は現金ではなく、課税文書に収入印紙を貼り付ける方法で納付します。

課税文書とは

「課税文書(かぜいぶんしょ)」とは、印紙税が課税される文書のことです。どういった文書が課税文書に該当するかは、印紙税法という法律で定められています。課税文書は全部で20種類あり、代表例は領収書、契約書、約束手形、為替手形などです。

収入印紙が必要なケース

収入印紙が必要となるのは、印紙税の課税文書を作成するケースの他、不動産の取得や交換などがあったときの登記申請に必要な登録免許税を納める場合や、国家試験の受験手数料や運転免許の交付手数料などを納める場合などがあります。

収入印紙が不要となるケース

作成した文書が印紙税法に定める課税文書に該当しない場合は、収入印紙を貼付する必要はありません。たとえば、飲食店で店が領収書を発行する場面を考えてみましょう。領収書は「売上金に係る金銭または有価証券の受取を証明する受取書」の場合に課税文書に該当するため、客が現金払いをした際に発行する領収書は課税文書に該当します(店側は客から金銭を受け取っているため)。

一方、客がクレジットカード払いをした場合は、店側は客から金銭を受け取っていないため、この際に発行する領収書は課税文書に該当しません。したがって、客がクレジットカード払いをした際に発行する領収書に、収入印紙の貼付は不要です。この場合、領収書が課税文書に該当しないことを示すために、領収書内に「クレジットカード払い」の文言を記載する必要があります。

収入印紙の歴史

収入印紙の歴史

領収書に収入印紙を貼ることは「印紙税法」によって定められています。印紙税は、農業者と商工業者との税負担を均しくすることを目的として明治6年に導入され、明治32年に印紙税法(旧法)の制定がされました。その後、昭和42年に全文が改定されて現行の印紙税法が形作られ、昭和56年には収入印紙の最低額が100円から200円に改正されたり、平成26年には印紙税の対象となる、つまり収入印紙の貼り付けが必要な領収書の受取金額の要件が改正(3万円から5万円)されたりして、今日に至っています。

収入印紙の金額

課税文書に貼り付ける収入印紙の金額は、各文書の内容や記載金額などにより異なります。まずは、一番身近な課税文書である領収書について詳しく解説します。

領収書に貼る印紙の金額

受取金額が5万円以上の領収書を作成する場合は、収入印紙を貼る必要があります。5万円未満の領収書は「非課税文書」に該当するため、収入印紙を貼る必要はありません。

「受取金額」は原則として消費税込みの金額で判定しますが、領収書に消費税額が明記されていれば税抜きの金額で判定することが可能です。たとえば、領収書に「商品代金48,000円、消費税4,800円、合計金額52,800円」と記載してある場合の受取金額は48,000円であることから、この領収書は非課税文書となります。

また、同じ領収書であっても、「売上代金の領収書」と借入金や保険金などの「売上代金以外の領収書」では、領収書に貼るべき収入印紙の額がいくらかは異なります。それぞれの印紙税額は下表のとおりです。

<売上代金の領収書の場合の一覧表>

領収書に記載された金額 収入印紙の金額
5万円未満 非課税
5万円以上100万円以下 200円
100万円超200万円以下 400円
200万円超300万円以下 600円
300万円超500万円以下 1,000円
500万円超1,000万円以下 2,000円
1,000万円超2,000万円以下 4,000円
2,000万円超3,000万円以下 6,000円
3,000万円超5,000万円以下 10,000円
5,000万円超1億円以下 20,000円
1億円超2億円以下 40,000円
2億円超3億円以下 60,000円
3億円超5億円以下 100,000円
5億円超10億円以下 150,000円
10億円超 200,000円
記載金額のないもの 200円

<売上代金以外の領収書の場合の一覧表>

領収書に記載された金額 収入印紙の金額
5万円未満 非課税
5万円以上 200円

請負契約書に貼る印紙の金額

「請負契約書」とは、発注者と受注者で交わされる請負に関する契約書です。マイホームを建てるときに施主とハウスメーカーが締結する、工事請負契約書をイメージするとわかりやすいでしょう。

請負契約書には工事請負契約書の他に、物品加工注文請書や広告契約書、俳優やプロ野球選手との契約時に使用する専属契約書などが該当します。印紙税法に定める請負契約書の印紙税額は次のとおりです。なお、租税特別措置法の定めにより、工事請負契約書のうち一定の建設工事請負契約書については、平成9年4月1日から2024年3月31日までの間に作成されるものに限って印紙税の軽減措置が導入されています。建設工事は契約金額も高額になるため、こうした軽減措置の適用を受けることで印紙税額を減らすことができます。

参考:国税庁「『不動産譲渡契約書』及び『建設工事請負契約書』の印紙税の軽減措置の延長について

<請負契約書の場合の一覧表(通常の場合)>

契約書に記載された金額 収入印紙の金額
1万円未満 非課税
1万円以上100万円以下 200円
100万円超200万円以下 400円
200万円超300万円以下 1,000円
300万円超500万円以下 2,000円
500万円超1,000万円以下 10,000円
1,000万円超5,000万円以下 20,000円
5,000万円超1億円以下 60,000円
1億円超5億円以下 100,000円
5億円超10億円以下 200,000円
10億円超50億円以下 400,000円
50億円超 600,000円
記載金額のないもの 200円

収入印紙の勘定科目

「勘定科目」とは、取引の内容を会計処理で記録する際に使用する、簿記上の見出しのことです。たとえば、水道代を支払った場合は「水道光熱費」、得意先に掛けで商品を販売した場合は「売掛金」といった勘定科目を使用します。

収入印紙を用いた場合は、一般的に「租税公課」の勘定科目を使用します。他に「租税公課」の勘定科目を使うものとして、固定資産税、事業所税、不動産取得税などが挙げられます。

なお、収入印紙は購入する場所によって消費税の取り扱いが異なります。郵便局などで購入した場合は非課税である一方、金券ショップなどで購入した場合は課税取引となるため、金券ショップで購入した場合は仕訳の借方に仮払消費税を計上します。

収入印紙の購入場所と購入方法

郵便局

収入印紙はどこで販売されているのでしょうか。これまで収入印紙を購入する機会がなく、購入場所や購入方法が分からない方もいるはずです。
一般的に、収入印紙はコンビニや郵便局、金券ショップなど、さまざまな場所で購入できます。また、収入印紙は31種類に分類され、1円から10万円までそれぞれ額面が設定されています。主な収入印紙の購入場所を以下にご紹介しますので、確認しておきましょう。

郵便局

切手やはがきを販売している郵便局で、収入印紙も購入可能です。国税庁 でも、郵便局や印紙売りさばき所で収入印紙を購入するように情報を伝えています。
一般的な郵便局は平日のみの営業ですが、大きな郵便局では土日販売も行っている窓口(ゆうゆう窓口)があります。郵便局で収入印紙を購入する場合には、事前に購入可能な曜日を確認しておいてください。

コンビニエンスストア

コンビニエンスストアで販売されている収入印紙は、棚に陳列されていません。購入する場合にはレジで必要な収入印紙の金額と枚数を店員さんに伝えましょう。
コンビニエンスストアでタバコやお酒を取扱っている場合、表のウィンドウに「タバコ」「お酒」と掲示されています。これと同様、収入印紙を取扱っている場合には、表のウィンドウに「収入印紙」と掲示されているはずです。コンビニは土日も開いているため、いつでも購入できるメリットがあります。しかし一方、コンビニで購入できる収入印紙の種類は限られていることが多いため、注意が必要です。

役所

戸籍や住民票などを発行する際には、手数料として収入印紙の購入が必要です。そのため、役所内もしくは近隣では、自動販売機や窓口などで収入印紙が販売されています。ただし、地域によっては収入印紙自体を販売していない場合もあるため、事前の確認をおすすめします。

法務局

役所と同様、必要書類の発行手数料として収入印紙を購入する必要があります。そのため、窓口または自動販売機で収入印紙を購入することが可能です。

金券ショップ

収入印紙は、金券ショップでも購入することができます。金券ショップでは、定価より割安で収入印紙を購入できるという点がメリットです。その反面、欲しい額面・枚数の収入印紙が店にないケースもあるので、急ぎの場合や確実にほしい場合は郵便局へ行くことをおすすめします。なお、「収入印紙の勘定科目」の章で記載したとおり、金券ショップで収入印紙を購入する場合は消費税がかかる点に注意が必要です。

商店(タバコ屋や酒屋など)

昔からあるタバコ屋や酒屋などの個人商店では、切手のほかに収入印紙も販売されていることがあります。切手を販売するお店は郵便マークが記載された看板を店先に掲げていますが、郵便マークの右側に「収入印紙うりさばき所」と記載がある場合には収入印紙も取扱っています。

収入印紙の貼り方と注意点

収入印紙の貼り方と注意点

収入印紙を貼る位置に法律上の決まりやルールはありませんが、見えやすい位置に貼付するようにしましょう。横長の領収書の場合は、領収書の右下に貼ることが一般的です。

また、収入印紙を貼ったあとは、再利用防止のために印鑑や署名で消印をする必要があります(日常会話では「割印」ということもありますが、正しくは消印です)。消印をするときは、収入印紙と収入印紙を貼った文書にそれぞれ半分ずつかかるように押印や署名を行います。なお、署名で消印をする場合は消せないボールペンで行わなくてはいけません。

収入印紙の貼り忘れや消印忘れがあった場合、ペナルティとして「過怠税」という税金が課せられ、納付すべきだった印紙税の3倍相当の納税義務が発生します(税務調査前に自主的に貼り忘れを申し出た場合は、1.1倍に軽減されます)。この過怠税は、法人の損金または個人事業主の必要経費には算入されません。

なお、未使用の収入印紙や誤って貼り付けてしまった収入印紙は、郵便局で交換、または税務署で還付してもらうことができます(郵便局で交換してもらう場合は手数料が必要です)。郵便局と税務署のどちらに行くべきかについては状況によるため、以下の国税庁のパンフレットを参照の上ご判断ください。

参考:国税庁「収入印紙の交換と印紙税の還付について

電子データなら収入印紙が不要

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領収書の電子データ(電子領収書)であれば、売上代金が5万円以上の場合であっても収入印紙が不要で、税金対策にもつながります。また、電子領収書について、その効力を懸念される方がいらっしゃるかもしれませんが、実際は一般的な領収書と変わりなく同等に扱えます。

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まとめ

以上、収入印紙について基本的な部分から解説しました。収入印紙は、適切に貼付・消印などを行わないと重いペナルティがあります。そのため、貼り忘れや消印忘れがないよう注意を払うことが大切です。この点、電子領収書であれば印紙税の節税につながる上、領収書の印刷・封入・発送業務の手間も削減できます。印紙代の削減と業務効率化を踏まえると、領収書は紙から電子へ切り替えることをおすすめします。

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監修者税理士
川口 拓哉

税理士(名古屋税理士会)。2017年の税理士試験で官報合格。

法人及び個人の確定申告書作成、協会における相談対応、Webメディアでの記事執筆や監修などの経験を有する。川口拓哉税理士事務所代表。

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