監修者:内山 智絵(税理士)
取引先に請求書を送る際には、ビジネスマナーとして送付状を添えることが多いと思います。送付状はビジネス文書であるため、取引先とのトラブル防止のためにも、適切なフォーマットで作成する必要があります。
この記事では、請求書の作成や発送を担当する方向けに、請求書に同封する送付状に記載する項目や書き方、注意点について解説します。送付状の例文もご紹介していますので、送付状の作成にも是非お役立てください。
送付状とは、送付した書類の内容を案内するための文書です。「送り状」や「添え状」、「挨拶状」とも呼ばれます。ビジネスにおいて、「送付状」を同封するのは基本的なマナーです。また、送付状はビジネス上のあいさつでもあるので、同封することで相手に丁寧さが伝わり、印象がよくなります。送付状に記載する主な項目は、宛先、送付日、送付内容などです。詳しくは「請求書の送付状に記載する項目」の章で解説します。
法律上、請求書を送る際に送付状の同封は必須ではありません。ただし、請求書の枚数や宛先、その他の送付書類の中身を記載した送付状を同封しておくことで、内容について受取側との認識違いが起こりにくくなり、トラブル防止やスムーズな取引につながります。また、送付状を同封した方が取引先に丁寧な印象を与えることができるでしょう。
しかし、例外的に「メールで請求書を送付する場合」「システムを利用して送付する場合」の送付状は不要です。
請求書をメールで送る場合には、メールの本文が送付状の役割を果たすため、送付状は不要となります。さらに、システムで作成した請求書を、そのままシステムから取引先に送付する場合もあります。その際も、自身で送付状を作成する必要はありません。このように、郵送以外の方法で請求書を送付すれば送付状の作成を省略することができ、請求書の発行業務の手間削減につながります。
なお、取引先の了解を得ている場合には、請求書をFAXで送ることも可能です。FAXは紛失のリスクなどもあるため、送信後に電話連絡を入れ、後日、原本を郵送する形が望ましいでしょう。FAXで送る場合には、FAX用の送付状をつけて送ると丁寧です。
また、送付状への請求書と同様、送付状に押印の義務はありません。請求書の場合は、印鑑があると書類としての信頼度が上がり、トラブル防止や改ざんのリスク防止につながるため、押印するケースが一般的ですが、送付状はあくまで補足の文書であるため、押印は不要です。
送付状はビジネス文書であるため、マナーに則って正しく記載することが求められます。送付状に必要な項目は、一般的に以下の5つです。また、送付状の内容は1枚にまとめます。
① タイトル
② 発行日、送信者の情報
③ 宛名
④ 送付内容
⑤ 挨拶文
20○○年○月○日
〒○○○―○○○○
東京都○○区○○
○○株式会社
○○部 ○○様
〒○○○―○○○○
東京都○○区○○
株式会社○○
営業部 担当者:○○
TEL/FAX:○○○○
拝啓
貴社におかれましては、ますますご清栄のことと心よりお慶び申し上げます。
この度の納品に関しまして、下記の通り請求書を同封させて頂きました。ご査収の程、よろしくお願いいたします。
今後ともなにとぞよろしくお願い申し上げます。
敬具
以上
それぞれ、詳しく解説します。
送付状であることがわかるように、タイトルを簡潔に記載します。
例:請求書送付の件
送付状には、発行日(発送日や作成日など)を記載します。請求書の日時と一緒でなくても構いませんが、年号の表記は請求書と合わせるようにしましょう。
また、取引先が問い合わせできるように、送信者の「社名・部署・担当者・連絡先」を記載します。会社の住所や電話番号、FAX、Eメールなどの連絡手段を記載するとよいでしょう。
例:
〒○○○―○○○○
東京都○○区○○
株式会社○○
営業部 担当者:○○
TEL/FAX:○○○○
宛先は、「郵便番号+住所+会社名+部署名+担当者名」を正式名称で記載します。請求書が正確に届くように、部署名や担当者名も記載するようにしましょう。
例:
〒○○○―○○○○
東京都○○区○○
○○株式会社
○○課 ○○様
書類の内容や枚数を書くときは、「記書き」と呼ばれる書き方をします。これにより、送付する書類の内容を明確に示すことができます。
行の中心に「記」と書き、1行開けて書類の内容を箇条書きで列挙し、最後に「以上」と書きます。
例:
記
送付書類
○○年○○月分 請求書 計2部
以上
挨拶文は「前文」「主文」「末文」で構成されます。以下、文例とセットでご紹介します。
例:
・拝啓 貴社におかれましては、ますますご清栄のことと心よりお慶び申し上げます。
・拝啓 平素より格別のご高配を賜りまして厚くお礼申し上げます。
送付物の内容について記載します。
例:この度の納品に関しまして、下記の通り請求書を同封させて頂きました。ご査収の程、よろしくお願いいたします。
結びの挨拶と結語を記載します。今後の取引をスムーズに行えるような文章を入れます。
例:今後ともなにとぞよろしくお願い申し上げます。 敬具
送付状に限らず、縦型(長形3号)の封筒にA4サイズの書類を入れる場合は三つ折りにするのが一般的です。「送付のご案内」の折り目が上にくるようにし、取引相手が封を開け送付状を手にして、三つ折りにした書類を開いた際に「送付状のご案内」が見えるように封筒の裏側から封入しましょう。
ここまで、請求書を送付する際の送付状について解説してきました。請求書は私たちの生活の中でも身近な証憑書類であり、企業の売上に直結する重要な書類です。そのため、取引相手にスムーズに支払いしてもらえるよう、そして失礼がないよう正確に作成や送付を行う必要があります。
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請求書に同封する送り状について、解説しました。送付状を添付するのはビジネスマナーであり、取引先とのトラブル回避にもつながりますので、ぜひ請求書と一緒に送付するようにしましょう。
送付状に必要な項目については、いくつかの種類があります。事務作業の手間を軽減させ、ミスを防止するためにも、基本のテンプレートを作成しておくことがオススメです。
公認会計士・税理士・ファイナンシャルプランナー。大学在学中に公認会計士試験に合格。大手監査法人の地方事務所で上場企業の法定監査などに10年ほど従事した。
現在は、個人で会計事務所を開業し、中小監査法人での監査業務を継続しつつ、起業女性の会計・税務サポートなどを中心に行っている。
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