企業が外注先(個人事業主等)へ支払明細書を発行する理由。
外注費と実質給与の判断基準とは?

著者:杉浦真一郎(税理士)2021年1月29日

近年は大企業だけでなく、中小企業においても何らかの業務をアウトソーシングしている法人が見受けられます。建設業やWEB制作等を生業とする企業においてフリーランスの方を活用されている企業も多いでしょう。

外注先の個人事業主に対し請求書や支払明細書に基づいて対価を支払う場合、実態が外注費の要件を満たさないと給与と認定され、源泉徴収漏れ仕入控除過大など高額の納付が必要となる場合があります。

今回は、外注先への支払が給与に該当するかどうかの判断基準や、企業が外注先(個人事業主等)に支払明細を発行する意味について解説します。

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目次

    アウトソーシングとは

    「アウトソーシング」とは外部から経営資源(人的資源)調達すること、つまり、自社で行っていた業務の一部又は全部を外部に委託することを指します。
    アウトソーシングをするメリットとしては以下のようなものがあります

    • 自社の経営資源を中核業務に集中させることができる
    • 自社の経営資源でまかないきれない受注を受けた際、専門知識やノウハウを持つ外部の法人や個人に外注することにより対応することが可能となる

    従業員を高度な受注に対応できる人員に育てるには多くの時間と教育費や社会保険料などのコストがかかり、また労働基準法等により容易に解雇することができないため、給与等の人件費コストの負担が長期にわたります。

    一方、外注を利用する場合は受注の状況に合わせてその利用度合いを調整でき、社会保険料の負担もなく、外注費に上乗せして支払った消費税は仕入税額控除として消費税等の納税額を減少させることができます。

    こうしてみると業務の対価として支払う場合、従業員に給与として支払うよりも外部の者に外注費として支払う方が支払う側には都合が良いように思われます。

    まずは給与と外注費の税務上の取扱いについて確認していきましょう。

    外注費と給与の税務上の取扱い

    業務の対価として支払った額を給与として計上した場合と、外注費として計上した場合の税務上の取扱いについてみていきます。

    給与として計上した場合

    1. 給与は不課税取引(仕入税額控除はできない)
    2. 源泉所得税を徴収(天引き)する必要がある
    3. 原則社会保険の加入義務が生じ、支払う法人にも社会保険料の負担が生ずる

    ※「給与」とは雇用契約もしくはこれに準ずる契約に基づいて受ける役務の提供の対価をいいます

    外注費として計上した場合

    1. 外注費は通常課税仕入(上乗せされた消費税は仕入税額控除が可能)
    2. 源泉所得税は徴収しない(士業など一部の者への支払いを除く)
    3. 原則、外注先が自身で社会保険に加入するので社会保険料の負担は生じない

    ※「外注費」とは、請負契約もしくはこれに準ずる契約に基づいて受ける役務の提供の対価をいいます

    外注費を給与と認定された判決とペナルティ

    このように税務上の取扱いを確認してみると業務への対価の支払いは外注費として計上する方が有利に思えます。では、形式上「請負契約書」を作成して、消費税を上乗せした請求書や支払明細書をもとに外注費と処理してもよいのでしょうか。

    実際はそう都合良くいかないようです。

    電気工事を営む会社が計上した外注費が税務調査において給与と指摘される事件がありました。この事件は高等裁判所においても給与と認定されたため、給与に対する源泉所得税徴収漏れ、給与は不課税取引であるため仕入税額控除過大、そしてこれらに伴う追徴課税が生じ、多額の金員を納付することとなりました。(平成20年4月23日東京高等裁判所判決)

    外注費か給与かの判断基準

    外注先への支払いが外注費か給与に該当するかどうかは、「請負契約が締結されているか」それとも「雇用契約が結ばれているか」という形式的な要件だけでなく、その区分が明らかでないときは業務の実態を外注費の判断基準に照合して総合的に勘案して判断されます。

    実際に外注費の判断基準として用いられるのが「消費税基本通達1-1-1」(下記)であり、他に東京局個人課税課速報第28号(平成15年7月)なども参考にされています。

    「第1節 個人事業者の納税義務(個人事業者と給与所得者の区分)」
    事業者とは自己の計算において独立して事業を行う者をいうから、個人が雇用契約又はこれに準ずる契約に基づき他の者に従属し、かつ、当該他の者の計算により行われる事業に役務を提供する場合は、事業に該当しないのであるから留意する。したがって、出来高払の給与を対価とする役務の提供は事業に該当せず、また、請負による報酬を対価とする役務の提供は事業に該当するが、支払を受けた役務の提供の対価が出来高払の給与であるか請負による報酬であるかの区分については、雇用契約又はこれに準ずる契約に基づく対価であるかどうかによるのであるから留意する。この場合において、その区分が明らかでないときは、例えば、次の事項を総合勘案して判定するものとする。

    1. その契約に係る役務の提供の内容が他人の代替を容れるかどうか。
    2. 役務の提供に当たり事業者の指揮監督を受けるかどうか。
    3. まだ引渡しを了しない完成品が不可抗力のため滅失した場合等においても、当該個人が権利として既に提供した役務に係る報酬の請求をなすことができるかどうか。
    4. 役務の提供に係る材料又は用具等を供与されているかどうか。

    引用:国税庁「第1節 個人事業者の納税義務」

    外注費を給与と認定されないための対策

    前章でみてきたように、外注先への支払いが給与と認定されないために、形式的には外注費の要件を満たした請負契約書を締結し、業務の実態が消費税法基本通達1-1-1の判断基準事項を総合勘案して外注費に該当すると判断される必要があります。加えて、東京局個人課税課速報第28号(平成15年7月)に掲載されている判定検討表の判定事項の中の一つに「その対価にかかる請求書等の作成がされているか」という項目があり、こちらも気を付ける必要があると考えられます。

    外注先が請求書の作成に関して十分な知識がない個人事業主ある場合、給与と認定される可能性のある記載をした請求書を作成してしまうおそれがあります。この場合、発注元の企業が外注先に対して適切な支払明細書を交付し、これに基づき外注先が請求書を作成するよう設定すれば、支払いが給与と認定されるリスクを低くすることが可能になるでしょう

    ※「支払明細書」とは、何かを支払う取引において支払い義務が発生した際に発行する書類のことで、基本的には支払い義務が発生した日時や何に対する料金なのか等を記載した書類を指します

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    まとめ

    外注先への支払いが給与とみなされないために、業務の実態も外注費の判断基準に沿っているか確認する必要があります。外注先が請求書の作成に関して十分な知識がない場合、発注元の企業が外注先に対して適切な支払明細書を交付することもリスクの低減に役立つでしょう。

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