【完全版】与信管理とは?注意しなければならない「与信リスク」回避についても徹底解説!

【完全版】与信管理とは?注意しなければならない「与信リスク」回避についても徹底解説!

与信管理とは

与信管理という言葉の意味をご存知でしょうか。一般的には聞きなれない言葉のため、その意味を理解している人は少ないかもしれません。与信管理とは金融業界や経理を行う場面で盛んに使われる言葉であり、取引を行う際に活用され、重要な役割を果たします。そこで今回は、与信管理とは何か詳しくご紹介しましょう。

与信管理はどのようなことをするの?

請求書や見積もり、挨拶状といった封書を送る際には、必ず宛名や差出人記載が必要となります。しかし、莫大な数の宛名を1つ1つ封筒に記載していくのは、思いのほか時間を要する作業です。そのため、時間がいくらあっても足りず、封筒に宛名を印刷して作業を短縮化したいと考える人は少なくありません。

与信とは取引相手に信用を供与することを指します。「支払いは月末締め、翌々月払い」との契約を交わすだけで、金銭を支払っていないにもかかわらず商品が受け渡される取引です。


具体的な与信管理の内容は以下の通りとなります。

▼取引を行う規模に応じて、取引先の情報収集を行う。
▼評価別に区別した取引先の与信枠と売上債権との比較を行う。

情報収集はむやみに行うのではなく、取引の規模に応じて区別して効率的に行えるようにしましょう。また、評価別に区別した取引先毎に与信取引で扱う上限金額を設定し、これを与信枠と呼びます。この与信枠と売上債権を照らし合わせ、評価を行います。


与信管理に必要な評価は以下の通りに行います。

▼業界や地域の評判や口コミを参考に自ら情報収集する。
▼商業登記の閲覧などの有料情報を収集する。

実際に自ら行動を起こし、取引先とのヒアリング、ホーページや求人情報、業界や地域の評価などに対し10個程度のチェック項目を設け、チェックの数で評価を行うと効率的に行うことができます。また、商業登記や企業が所有する建物の不動産登記は法務局に訪問し、手数料を支払うことで観覧することが可能です。これは、情報収集に有効な手段となるでしょう。

与信リスクを回避するための与信取引

法人間で取引される与信取引ですが、初めて取引を行う相手先であっても先に商品を納品し、定められた支払い日まで支払いを待つ取引は受注側に多大なるリスクが生じます。発注側が支払い能力を失った場合や倒産、夜逃げなどになれば、取引で生じた損失を自社で負担しなければなりません。それらリスクを与信リスクと呼び、そのリスクを回避するために行う業務が「与信管理」です。

与信管理は、取引先のリスクを管理する最も有力な管理方法として知られます。取引先の情報を収集・分析することで現状や動向を予測し、発注側の取引に応じるリスクがあると判断した場合には、取引の規模を縮小したり取引の可否を判断したりします。取引先が倒産となれば損失となった売掛金や受取手形は売上債権となるため、それらを回収できるかは初期動作が鍵を握るのです。

取引先が倒産してしまったら?

与信管理を細かく行っていても、急に取引先が倒産するケースも少なからず見受けられます。そのため、損失を回避または最小限に抑えられるよう対処しなければなりません。迅速な対応がキーポイントとなるため、倒産の知らせを受けたら下記のヒアリングを行いましょう。

ヒアリング項目

  • 倒産形態(手形不渡り、任意整理、法的整理)
  • 倒産後のスケジュールと担当者の連絡先
  • 倒産した理由
  • 主要債務者名とその債務額
  • 自社以外の主要取引先や売掛金・買掛金の状況
  • 自社納品商品の在庫確認

売掛金損失の場合

売掛金や貸金がある、あるいは金銭債権があるといった場合には、取引先の破産手続きとして取引先の財産から配当金を損失額の50%まで受け取ることが可能です。ただし、損失額満額を補うことは困難となるため、「未収金は回収不能見込額」として処理する必要があります。

買掛金損失の場合

買掛金の場合、「倒産したから料金の支払いはしなくても大丈夫」などと勘違いしがちです。しかし、実際には破産管財人という財産管理の権利をもった弁護士から支払を要求する連絡が入り、買掛金の請求を拒む場合には訴訟を起こしかねません。そのため、支払義務があるものはしっかり支払いましょう。

売掛金と買掛金の両方がある場合

売掛金と買掛金の両方を有している場合には、それらを相殺することができます。弁済期ではない債権がある場合には、倒産によって弁済期が繰り上げられ買掛金との相殺が可能です。

与信管理の重要性

与信管理の重要性について、1つ1つご紹介しましょう。与信管理は貸倒れを回避するために必要不可欠であり、事業を行う上でも重要な役割を果たします。

1) 貸倒れは誰にでも起こりうるリスクを伴う

取引先が倒産してしまうと、未回収である売掛金が回収できない事態に見舞われ「貸倒れ」状態となります。貸倒れは「焦付き」とも呼ばれ、売掛金などの債務が倒産などで回収することが出来ない状況を指し、大きな利益が失いかねない状況下にあります。

例えば、企業の売上高に対する経営利益のパーセンテージが10%の取引において、1,000万円の貸倒れが生じたとしましょう。その場合、1億円もの売上で損失を穴埋めしなければならず、そのダメージは計り知れません。また、倒産した企業は取引相手ですが、与信管理の信頼を失った報いとして業績に影響を及ぼす可能性も捨てきれないでしょう。

計算式 1,000万円÷10%=1億円

2) 法的倒産は回収が困難

2018年の全国における企業の倒産数(負債額1,000万以上)は8,235件であり、前年比に比べると170件の倒産数が減り、負債総額1兆4,854億6,900万円となりました。前年比の負債額はなんと3兆1,676億3,700万円であったため、前年と比べて53.1%減です。2018年の負債総額が半分以上異なる要因に、大企業の倒産が挙げられます。その負債額は1兆5,024億円にも上り、戦後最大の倒産級の倒産が原因で総負債額は釣り上げられました。

一方、法的倒産の構成比は過去最高の97.2%を占め、私的倒産と比べて配当金が非常に少ないとされます。法的倒産が現在では主流になっていることが見受けられ、更に与信管理の重要性が叫ばれるようになりつつあるのです。

▼出典:株式会社東京商工リサーチ「全国企業倒産状況 2018年(平成30年)の全国企業倒産8,235件」

3) 隠れ倒産が急増?

近年ではコスト削減を理由に、手形を発行しない企業が増えています。2018年度の全国の手形交換高は261兆2,755億円であり、前年に比べると30.1%減です。手形を活用した取引が盛んに行われていた1990年の4,797兆2,906億円に比べると、94.5%減と大幅な減少が見受けられ、約5%もの水準にまで縮小しました。

しかし、手形交換しなければ支払いが遅延していても不渡りにはなりません。更に、倒産の理由として多く挙げられた銀行取引停止処分の件数は、2008年の6,529件と比べると2018年度は856件と大幅に減少。統計上では倒産と見做されない、隠れ倒産が増加していると見受けられます

▼出典:一般社団法人「2018年(平成30年)版 決済統計年報」より一部抜粋

4) 消費税増額に伴い倒産が増加する?

日本では、過去に2回の増税が行われています。個人商店や中小企業では増税に合わせ、消費税を含めた商品の金額を値上がらせることは容易ではありません。消費税増額分を自社でまかなわなければならず、大多数の個人商店や中小企業が結果的に経営悪化の岐路を辿るのではないかと懸念され、経営悪化が進めば倒産は免れません。2019年10月1日より消費税8%から10%とへと改正されますが、今後の経済状況を把握しながら与信管理を行う必要があります。

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与信管理を英語でいうと

与信管理を英語表記で表すと、「credit management」と表記します。creditには信用や信頼といった意味があり、managementとは管理や経営、操縦といった意味が含まれる単語です。近年では、海外の企業や個人との取引もインターネットを介して容易に行われるようになりました。英語力が試される機会に備えるため、取引で行う英単語を把握しておくと良いでしょう。

  • 与信管理:credit management
  • 与信審査:credit examination
  • 与信リスク:credit risk
  • 売掛金:accounts receivable
  • 買掛金:accounts payable
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与信管理サービスまとめ

自社でも行うことのできる与信管理ですが、与信管理には経理・会計、財務、法律、経営、業界の傾向などの多くの専門的な知識が必要です。与信の評価には透明性や公平性、客観的な評価が求められ、与信管理を確実に行うために与信管理サービスを利用する企業も増えています。

与信管理サービスでは主に、以下のサービスを提供しています。

  • 段階別に区別して倒産実績で得た情報を基に評価を行い、リスクの高い取引を回避します。
  • 段階別績表、搭載集計分析、情報収集を行います。
  • データを基に与信限度額が提示されます。
  • 独自の信用調査サービスを実現させ、正確な評価を導き出します。
  • 新聞の記事検索システムを利用して、過去・現在の情報収集が可能です。
  • 決算書分析システムを活用してより詳しい財務状況を把握します。

自社を守る保険やサービスが充実しています。

  • 貸倒れの損失を軽減できる共済サービスの加入ができる。
  • 信用保険や債権保全サービスの加入ができる。

その他にも、様々なサービスが充実しています。

  • 営業支援機能では、新規開拓などをサポート。
  • 日報管理システムの活用で全企業の管理が可能です。
  • 社員研修サービスでは講師を派遣することも可能です。
  • クラウドサービスを利用胃することでモバイルや情報共有することが可能です。

与信管理サービスは、企業毎にそれら内容や機能が異なります。そのため、与信管理サービスのご利用をお考えの場合には、自社が求める機能を提供する与信管理サービスを導入しましょう。

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与信管理の最適な方法

与信管理は自社に合った方法で行うことが大切です。独自でルールを設けると、より品質の良い与信管理を行えるでしょう。以下は基本的な与信管理の手順となりますので、与信管理を自社で行う際の参考にしてみてください。

与信管理方法の手順

  1. 取引先の与信調査を行う
  2. 取引の可否や取引の規模を定める
  3. 与信枠を設定する
  4. 月末時点の売上債権残高と与信枠の照らし合わせ

以上、今回は与信管理について詳しくご紹介して参りました。与信管理は事業を運営する上で重要な役割を果たします。しかし、その与信管理がしっかりと行われていないと、取引相手だけではなく自社までもが倒産しかねません。与信管理の知識を更に深め、対応しましょう。

た、「楽楽明細」では取引を円滑に行えるサポートとして、請求書や利用明細書の発行から封入、発送までをまかなえるサービスを提供しています。「楽楽明細」のご利用を考えの場合には、お気軽にご相談ください。

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