経理部門のDXの進め方は?DX推進のメリットや役立つシステムを解説

監修者:谷澤 佳彦(税理士)更新日:2023年2月3日

経理部門のDXを進める男性

近年、バックオフィス業務のデジタル化やDXに取り組む企業が増えており、経理部門も例外ではありません。しかし、「DXを進める」というのがどういうことなのか、具体的に思い描けない方も多いのではないでしょうか。

この記事では、DXの意味を正しく理解したい方や、何から始めたら良いか分からない人向けに、DXの概要や企業におけるDX推進のステップ、経理部門でDXを進めることのメリット、役立つシステム・ツールなどについてご紹介します。

経理部門におけるDX

経理部門においてもDXを進める企業が増えていますが、そもそもDXとはどのようなことなのでしょうか。まずは、DXの概要や経理部門にDXが必要な理由などをご紹介していきます。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?

DXとは「デジタルトランスフォーメーション」の略で、国はDXを以下のように定義付けています。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」

参考:経済産業省「「DX 推進指標」とそのガイダンス

特に「バックオフィスのDX推進」という文脈においては、協調領域(自社の強みとの関係性が薄い領域)へのIT投資を効率化し、生み出した余力を競争領域(ビジネスの強みである領域)に割り当てていくことがポイントだと言われています。

協調領域のIT投資を効率化するには、業務プロセスの標準化と併せて、クラウドサービス・パッケージソフトウェアを活用し、予算や人材の投入を適正化していくことが重要です。

参考:経済産業省「DXレポート2 中間取りまとめ

DX推進のための3つの段階

DX推進のためには、以下のような3つの異なる段階に合わせて取り組むことが大切です。

・デジタイゼーション
・デジタライゼーション
・デジタルトランスフォーメーション

デジタイゼーション、デジタライゼーション、デジタルトランスフォーメーション

出典:経済産業省「DXレポート2 中間取りまとめ(概要)

・デジタイゼーション
デジタイゼーションは、アナログ・物理データのデジタル化を指します。DXのはじめの一歩といっても良いでしょう。例えば、紙ベースで行われていた業務をパソコンで行えるようにデジタル化したり、ビデオ会議を取り入れたりと、従来のアナログな部分を電子化することです。

今までアナログで行ってきた一部の業務やツールをデジタル化して業務効率化を図るという段階です。

・デジタライゼーション
デジタライゼーションは、個別の業務・製造プロセスのデジタル化を指します。一例としては、業務フロー全体をデジタル化して自動化を進めたり、業務同士の連携をスムーズにしたりすることが挙げられます。

デジタル技術を業務に大きく取り入れるようになり、人為的なミスの削減や生産性の向上などが期待できます。

・デジタルトランスフォーメーション
デジタルトランスフォーメーションは、組織横断/全体の業務・製造プロセスのデジタル化、“顧客起点の価値創出”のための事業やビジネスモデルの変革を指します。

一部の業務をデジタル化するのではなく、組織の業務全体のデジタル化を図る段階です。デジタルを活用して、今までにない革新的なサービス提供を確立し、ビジネスモデルを変革することが、最終的なDXのステップです。

経理部門の現状とDXが必要な理由

紙書類を扱う経理担当

経理部門の現状は、他の部署と比較するとアナログでの業務が多い傾向があります。では、具体的にどのような課題が存在するのでしょうか。経理にDXが必要な理由と併せてご紹介していきます。

経理部門の現状

経理部門では、主に以下のような課題が存在しています。

・紙、ハンコの文化が根強いため手作業が多い
経理では、まだまだ伝票や書類作成、帳簿などの業務を紙ベースで行っている企業も少なくありません。また、多くの書類に社印などのハンコが必要という文化も根強く残っているといえます。

・作業量が膨大
バックオフィス部門全般に言えることですが、直接的に利益を生まない部署であるため、業務負担が大きくなっても経営層が人員増加に消極的であるケースが多いです。結果的に少数精鋭で取り組むことになり、一人当たりの作業量が膨大になりやすい状況です。

・業務が属人化しやすい
経理部門の業務は専門性が高いため、ある業務を1人が担当しなければならないケースも多く、業務が属人化しやすいといえます。特定の人に固定されるため、業務がどこまで進んでいるか不透明になりやすい傾向にあり、その結果病欠などのときに他の人が引継ぎできなくなってしまうのです。

・データが散在しやすい
経理部門ではさまざまな書類を扱うため、書類・データが散在しやすい傾向があります。必要なときに必要な書類・データをスムーズに見つけ出すことができないことで、業務効率を悪化させてしまうのです。このような点は、経理業務が非生産的になってしまう要因の一つといえるでしょう。

なお、当社が行ったアンケート調査(紙書類に関する業務と働き方について)によると、「業務のデジタル化を進めるうえでのハードルとなりそうなもの」という問いに対し、「紙書類・ハンコの商習慣が根強い」が1位という結果でした。

業務のデジタル化を進めるうえでのハードルとなりそうなもの

出典:株式会社ラクス「ビズリーチ・弁護士ドットコム・ラクスの3社で柔軟な働き方実現目指す「紙書類処理『月10時間以上』を2割以下へ」宣言 1/27発足の「紙に縛られない働き方プロジェクト」で発表

経理部門のDXが必要な理由

変化が激しいビジネス環境で企業が生き残るうえで、経理部門のDXは重要な役割を担っています。
労働人口の減少が見込まれる現代では、業務効率の改善によって労働人口の減少を補い、競争優位性を高めるためのリソースを生み出す必要があります。

企業活動において、もっとも効率化の余地が大きいのがバックオフィスであり、特に紙文化や定型業務が比較的多い経理部門です。
そのため、企業が生産性を高めていくための手段として、経理部門のDXが推進されているのです。

経理部門でDXを進める5つのメリット

経理部門でDXを進めるメリット

経理部門のDXには、次のような5つのメリットが挙げられます。

①人的・金銭的コストを削減できる
②コア業務を強化できる
③業務の属人化を防げる
④働き方改革を推進できる
⑤優秀な人材を確保できる

①人的・金銭的コストを削減できる

DXにより、人的・金銭的なコストの削減が期待できます。経理業務では紙の書類を扱うことが多いですが、デジタル化すればペーパーレスを実現でき、紙代を大幅に削減できます。

また、見積書や請求書など、紙で発行し郵送していた帳票を電子化すれば、郵送代や保管費用といった経費も削減できます。さまざまな工程の作業量が減ることは、人件費の削減にもつながります。

②コア業務を強化できる

経理特有の手間がかかる業務をデジタルで効率化することにより、他の業務に時間を充てられるようになります。時間的なゆとりが生まれることで、分析や、経営層に向けたレポートの作成など、経営にかかわる重要な業務に集中して取り組むことができるでしょう。

③業務の属人化を防げる

一部の業務を自動化、または別の人と共有できる状態にすることによって、業務に透明性が生まれ、属人化を防ぐことができます。システムに特定の処理パターンを記憶させれば、誰が行っても同じ処理ができるようになるため、人的なミスが減ることも期待できるでしょう。

④働き方改革を推進できる

請求書の発行や給与計算、帳簿への記帳といった定型的な業務が効率化されるだけでも、月末や期末の残業時間を大幅に削減することが可能です。また、業務のほとんどをデジタル化できればテレワークもしやすくなり、多様な働き方を実現できます。テレワークが進んできたとはいえ、経理だけは出社が必要というイメージがありますが、DXが進めば、経理もセキュリティを確保しながらテレワークがしやすくなるでしょう。

⑤優秀な人材を確保できる

デジタル化に積極的な企業は、優秀な人材を確保しやすくなります。DXにより企業イメージがアップすれば、採用活動にも有利に働くでしょう。

経理部門でDXを進める3つのステップ

経理部門でDXを進めるステップ

経理部門でのDX化が、業務効率化に良い影響があることは理解できても、具体的にどのように進めれば良いか分からない方も多いでしょう。ここでは、DXを進めるための流れをご紹介します。

ステップ1.経理関連書類のデジタル化(ペーパーレス化)

はじめに、ペーパーレス化を実現するところから着手します。今でこそペーパーレス化の取り組みは積極的に行われていますが、以前は「非現実的」だと思われていました。しかし、紙を使わないというルールを作ることで、意外と順応できるものです。

まずは、慣習的に行っている紙での作成、印刷を禁止し、電子データで作成するよう取り決め、ハンコも出来るだけ省略します。書類が電子データ化されると必然的にオンラインで閲覧・共有するようになり、業務が属人化せず透明化しやすくなります。業務の透明化によって進捗状況の把握が容易になれば、ミスを未然に防ぎ、より確実な業務を行うことも可能になるでしょう。

ステップ2.業務プロセスの自動化・効率化

出来る限り自動化することを目指し、手作業で行う業務を減らします。例えば、請求額通りに入金されたと同時に消込が処理される、給与計算することにより自動で仕訳処理されるなど、業務ごとのデータを連携し自動化することができれば、大幅な業務の削減になります。手作業やチェック業務がなくなり、入力や転記などのミスも防ぐことが可能です。

ステップ3.経営判断に役立つデータ活用・早期レポーティング

社内のさまざまなデータが連携できると、一元管理することが可能になり、素早く業績を確認することができるようになります。日々の業績をリアルタイムで把握できるため、経営に関する現状可視化が図られ、早期の経営判断にも役立ちます。業務処理のための経理部門という位置づけではなく、経営の参謀として戦略的な経理部門となることが期待できます。

経理部門のDX推進に役立つシステム

DXに役立つシステム・ツール

現在は、経理部門でのDX推進に役立つさまざまなシステム・ツールが存在します。いくつか代表的なものをご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

RPAツール

RPAツールとは、人が手作業で行っていた作業を、ロボットで自動化することができるツールです。人の判断が必要ない単純作業、ルーティーン業務などで活用できます。手順を間違えることなく正確に処理できたり、休日や深夜帯にも休まず稼働できるといった特徴があります。経理の場合、帳票作成やメール送信などで役立つでしょう。

AI-OCR

AI-OCRは、AI技術と、文字情報を読み取るOCR技術を組み合わせたシステムです。手書き文字やプリントされた文字を読み取り、テキストデータに変換することが出来ます。例えば、経理業務の場合、請求書や領収書を読み取り、記載されている情報を自動入力することが出来ます。そのため、手入力の際に起こり得る入力ミスのリスクを減らすことが出来ます。

ワークフローシステム

ワークフローシステムは、稟議などの申請業務をシステム上で完結できるものです。紙での出力、ハンコの慣習をなくしオンラインで処理できることから、スピード感ある社内フローが実現します。また、未処理の案件が明確になり、承認漏れなどのリスクが軽減します。

電子帳票システム

電子帳票システムは、納品書や発注書などの帳票を電子データで作成・送付・保存するものです。帳票は自社で使用しているフォーマットに合わせて作成でき、他のシステムと連携をすることで、より業務効率化を図ることができます。作成された帳票はメール添付や自動FAX送信、郵送など、システムによって様々な方法での送付が可能です。手間のかかる帳票作成・発行業務を大幅に削減できるでしょう。

経費精算システム

経費精算システムは、経費精算の申請から承認、振込や仕訳データの作成など、経費精算に必要な業務を一つの流れで処理できるものです。経費精算は経理業務の中でも煩雑になりやすいものの一つであるため、自動化できたり、オンライン上で完結できたりすれば社内全体のフローがスムーズになります。

会計システム

会計システムは、経理の会計処理に役立つものです。会計に特化したシステムで、帳票や帳簿の作成、決算書作成から振り込み処理、予実管理まで多岐に渡り活用できます。複数人での同時作業も行うことができるため、ペーパーレス化はもちろん効率化にも役立ちます。

BIツール

BIツールは、集計されたデータを分析、可視化する機能を持つツールです。経理では、原価管理や経費を分析、可視化して業績に関する資料を効率的に作成することができます。

ERP

ERPは、生産、在庫、販売、経営管理など組織のあらゆる業務のデータを一元管理するシステムです。以前は自社のサーバーに構築するスタイルが主流でしたが、近年はクラウドを活用したSaaS型が活用される傾向があります。

このような経理部門の即戦力となるシステムを活用すれば、DX推進に役立つでしょう。

経理部門のDXを進めるなら「楽楽明細」

当社では、請求書などの帳票をWEB上で発行することができるクラウド型システム「楽楽明細」を提供しております。請求書の電子化は、コスト削減はもちろんのこと、業務負担削減、テレワーク促進などリスクが少なく一定以上の効果があらかじめ見込めるため、経理部門のDXを進める最初のステップとして最適です。

「楽楽明細」の特徴として、請求書だけではなく見積書や納品書、領収書などあらゆる帳票にも対応できる点があります。そのため、請求書だけでなく、他の帳票もまとめて電子化し、業務効率化できるでしょう。

請求書の発行業務は手間がかかり、一定期間に集中してしまうため、経理担当者の負担が大きくなるケースも少なくありません。その点、「楽楽明細」を活用すれば手間だけではなくコストも大幅に削減することができますので、ぜひこの機会にDX推進の最初のステップとしてお役立てください。

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監修者税理士
谷澤 佳彦

1993年に税理士資格を取得し、「谷澤佳彦税理士事務所」を開設。近年は相続・事業承継に対する税務相談を数多く対応する。

司法書士や不動産鑑定士など他の専門家とタッグを組み、組織として企業の繁栄・事業承継をサポートすることも得意とする。

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