バックオフィスDXが重要視される理由は?
DX化のメリットや効果的な進め方を詳しく解説

監修者:川口 拓哉(税理士)更新日:2023年3月14日

バックオフィス部門のDX推進を検討するビジネスパーソンのグループ

企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)が注目される昨今、バックオフィス部門においても、DX推進を検討している企業は多いでしょう。とはいえ、「DXの重要性・必要性を理解できていない」「具体的にどうやってDXを進めたらよいかわからない」という方も少なくないはずです。

本記事では、バックオフィス部門のDX推進を検討している経営者、企業の担当者の方に向けて、バックオフィス部門におけるDX推進の重要性・必要性、DXにより得られるメリット、進め方について詳しく解説します。

バックオフィスのDXとは

DX

バックオフィスのDXとは、経理や人事に代表されるバックオフィスの業務をITツールやデジタル技術の活用により変革することで、企業の競争力を強化することを意味します。以下、「バックオフィス」「DX」の用語の意味から順を追って解説します。

バックオフィスとフロントオフィス

企業の各部門は、大きく「フロントオフィス」部門と「バックオフィス」部門に分けられます。フロントオフィスは営業やコールセンター、カスタマーサポートなど、顧客と直接やりとりが発生する部門です。一方、バックオフィスとは経理や人事、総務、法務など、企業の管理部門を指します。

DXとは

「DX」とは、デジタルトランスフォーメーションの略称です。DXは、経済産業省の資料において次のように定義されています。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること

(令和2年12月28日 経済産業省「DXレポート2中間とりまとめ(概要)p.8」より)

つまり、DXは単なる業務のデジタル化ではなく、業務をデジタル化した上でビジネスモデルを変革し、競争優位性の確立につなげることを意味しています。

以上を踏まえると、バックオフィスのDXで目指しているのは、単にバックオフィス業務をデジタル化し、業務を効率化することではなく、「データやデジタル技術を活用して業務プロセス等を改革し、企業の競争力を強化につなげること」だと言えるでしょう。

バックオフィスのDXが重要視される理由

バックオフィスのDXが重要視される理由は以下3点です。

バックオフィスのDXが注目される理由

それぞれについて順に解説します。

企業の中枢を担う部門であるから

バックオフィスは、企業の中枢で経営と密接した部門です。バックオフィス業務のDXが進めば、スピーディで精度の高い経営判断の実現につながるため、DXが重要視されています。

ミスが会社の信用失墜につながるから

経理部や人事部で発生したミスは、従業員や取引先、場合によっては世間を巻き込んだ問題となる可能性もあります。ミスの内容によっては、会社の信用失墜に繋がったり、企業の株価にも影響を与えたりするリスクがあるため、間違いは許されません。ヒューマンエラーに起因するミスをなくすためにも、DXが必要といえるでしょう。

多様な働き方に適応するため

コロナ禍や働き方改革をきっかけに、現在では多様な働き方の一つとして、多くの企業でテレワークが実施されています。日本CFO協会の発表によれば2020年2月~3月の間でテレワークを実施または推奨した企業は全体の約70%で、東京都の発表によれば2022年9月の都内企業(従業員30人以上)のテレワーク実施率は58.6%でした。

出典:日本CFO協会
出典:東京都報道発表資料

一方、経理・バックオフィス向けのメディア「経理プラス」がメールマガジン読者を対象に実施したアンケートでは、出社率8割というデータもあります。こうした背景から、バックオフィス部門におけるテレワークの普及は、十分とは言えない状況にあるのです。バックオフィス部門でもテレワークを普及させ、多様な働き方を実現していくためにも、DX推進は重要であると言えます。

出典:経理プラス

「2025年の崖」

ここまで、バックオフィスのDXが重要視される理由を解説しました。バックオフィスのDXは、「2025年の崖」問題への対処という観点からも重要です。「2025年の崖」とは、複雑化・ブラックボックス化した既存のITシステムが残存した場合に想定される、国際競争への遅れや我が国の経済損失などを指す言葉です。経済産業省の報告によれば、「2025年の崖」の問題を解決できないことによる経済損失は、最大で1年あたり12兆円にのぼる可能性があるとされています。

出典:経済産業省「DXレポート

バックオフィスのDXを推進するメリット

DX推進により、業務のデジタル化や自動化を実現できれば、次のようなメリットを得ることができます。

1. 業務効率化・生産性の向上
2. 正確性の担保
3. コスト削減
4. 働き方改革推進
5. 優秀な人材の確保

これら5点について、以下で詳しく解説します。

業務効率化・生産性の向上

これまで人の手で行っていた定常的な業務を自動化することによって、マンパワーを自動化できないコア業務(たとえば経理であれば財務分析や複雑な税務処理の対応検討、法務であれば訴訟戦略の立案など)に割くことが可能となります。バックオフィスで働く社員を定常的な業務から解放して専門的知見が必要な業務に労力を集中させれば、より効率的に大きな成果を上げることができ、会社全体として生産性の向上にも繋がります。

正確性の担保

定常業務であっても、人が担当する場合はヒューマンエラーがつきものです。しかし、自動化すればヒューマンエラーの発生確率を限りなくゼロに近づけることが可能となり、業務の正確性を担保することができます。

コスト削減

自動化によって業務を効率化できれば、社員の残業時間が短くなり、残業代を削減できます。また、業務効率化によって社内リソースを確保できるようになれば、外注費や新規従業員の採用費といったコストも削減すること可能となります。

働き方改革推進

定常業務を自動化することで、社員がやらなければならない業務量を減らすことができます。業務量の削減により、残業時間の減少や有給休暇の取得がしやすい環境づくりにつながり、結果として働き方改革を推進できます。

優秀な人材の確保

DX推進によって働き方改革が推進されれば、企業イメージの向上にもつながるため、優秀な人材を新規採用できたり、既存の人材が他社へ流出してしまうのを防ぐ効果も期待できます。

バックオフィスのDXを推進する効果的な進め方

バックオフィス部門のDXは、次の4ステップで行うことが効率的です。

① 業務の整理・標準化
② 環境の整備
③ 業務の自動化
④ 書類・帳票のデジタル化

以下、各ステップの内容をご紹介します。

ステップ① 業務の整理・標準化

ITツール(AIツール含む)を導入して自動化を進める前に、業務の整理(必要なデータに対して、誰でも迷いなくアクセスが出来るようにする)と標準化(複数人が同じ業務に取り組むことが出来るようにする)を行うことで、ツール導入の効果を増加させることができます。また、現状の情報整備に課題がある場合は、先に情報管理ルールの見直しと新しいルールに基づいた情報の整理を実施しておくことによって、業務の整理と標準化を効率的に行うことができるようになります。

ステップ② 環境の整備

DXを推進するには、ノートパソコンの貸与、リモートデスクトップでアクセスできる環境の整備、VPNの準備や十分な速度が出るWi-Fiの貸与などのIT環境の整備が必須です。

さらに、SlackやChatworkといったチャットツールを導入してリモートでもコミュニケーションを取れるようにしたり、Webブラウザで利用できるクラウドサービスを導入することで該当業務をテレワーク環境でも処理できる状況を作ると、DXを推進するための理想的な環境になるでしょう。

ステップ③ 業務の自動化

DX推進のステップとして業務の自動化を進めるには、例えばRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)やシステムを利用する方法があります。RPAやシステムを利用すれば、定型業務(主に単純作業)の一連のフローを自動化でき、作業時間やヒューマンエラーを削減できます。

ステップ④ 書類・帳票のデジタル化

DXの推進には、紙の書類や帳票を無くすことが重要です。ITツールやクラウドサービスを活用して紙の書類や帳票を無くし、デジタル化(ペーパーレス化)することで、DXを推進できる土壌を作ることができます。デジタル化の副次的な効果として、ペーパーレス化による紙代や印刷代、紙を保管する倉庫の費用などの経費を削減することも可能です。

バックオフィスのDXを推進する際のポイント

次の3つのポイントに気をつけると、より効率的にバックオフィスのDXを推進することができます。

1. 業務課題の洗い出し・目的の明確化
2. 優先度の高い業務から取り組む
3. 自社に合ったツール・システムを検討・選定する

業務課題の洗い出し・目的の明確化

自社業務の現状を把握し、属人化している業務や非効率的な業務がないかなど課題の洗い出しを行い、目的を明確にしてDXの方向性を定めることが重要です。

優先度の高い業務から取り組む

DXを推進するにあたっては、予算も人的リソースも限られているのが通常です。そのため、DXの必要性が高い(効率化が必要な)業務から優先的に取り組みましょう。先行してDX推進が完了した業務でDXによる成果が見えてくれば、他の業務のDXにも着手しやすくなります。

自社に合ったツール・システムを検討・選定する

システムの種類はさまざまであり、搭載している機能もシステムによって異なるため、自社の既存の運用に乗せやすいか(既存のシステムと連携しやすいか)など、現場担当者の意見を尊重しながら事前に社内でしっかり検討することが重要です。システムを使う部門(経理部や人事部)とシステムを管理する部門(IT部門)が、一緒になって検討し、自社にあったツール・システムを選べるようにしましょう。

バックオフィスのDX推進の事例

バックオフィスのDX推進の事例として、バックオフィス業務の中でも特に紙書類を扱うアナログでの定型業務が多く、DX推進に着手しやすいと言われている経理業務での成功事例をご紹介します。

事例① 株式会社ベーシック様

WEBマーケティング分野とメディア分野でインターネット事業を展開している株式会社ベーシック様では、請求書発行業務を電子化することで、99%の請求書を郵送からWeb発行に移行することに成功しました。請求書のWeb発行により、以前は2人で丸2日間かけていた請求書の印刷封入作業と郵便局への投函作業が、格段に楽になっています。

詳しくはこちら>>>

事例② 株式会社メディカ出版

医療業界を対象にした雑誌、書籍、教材などさまざまな刊行物を手掛けている株式会社メディカ出版では、支払明細発行業務の電子化に成功しました。その結果、これまで延べ7日間ほどかかっていた支払明細発行業務が、延べ2~3日で済むようになっています。

詳しくはこちら>>>

電子請求書発行システム「楽楽明細」のご紹介

最後に、バックオフィス業務の中で経理部門が扱う帳票のデジタル化を実現できるおすすめのシステム電子請求書発行システム「楽楽明細」をご紹介します。

「楽楽明細」は、請求書や領収書などの帳票をWeb発行できるクラウド型のシステムです。帳票データをアップロードするだけで、簡単にWeb発行できるので、紙の場合に必要だった印刷・封入・発送の作業がゼロになり、経理担当者の手間や負担、紙代などのコストを削減することができます。その結果ペーパーレス化を促進できるので、経理部門のDX推進に役立ちます。

電子請求書発行システム「楽楽明細」 電子請求書発行システム「楽楽明細」

「楽楽明細」は簡単な操作とシンプルな画面で使いやすい点が特長のシステムのため、システム導入に不安がある方でも安心してご利用いただくことができます。また、電子帳簿保存法やインボイス制度にも対応しているため、DX推進と合わせて法対応のためにも検討することをおすすめします。

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まとめ

経理や人事、総務、法務といったバックオフィス業務をITツールやデジタル技術の活用によって変革し、企業の競争力を強化するバックオフィスDX。このDXを推進することにより、業務効率化や正確性の確保、働き方改革推進など、さまざまなメリットを得ることができるでしょう。
バックオフィス部門のDXを進める際には、本記事を参考に、業務の標準化・整理、環境の整備、書類・帳票のデジタル化、業務の自動化と段階的に進めることをおすすめします。

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監修者税理士
川口 拓哉

税理士(名古屋税理士会)。2017年の税理士試験で官報合格。

法人及び個人の確定申告書作成、協会における相談対応、Webメディアでの記事執筆や監修などの経験を有する。川口拓哉税理士事務所代表。

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