監修者:谷澤 佳彦(税理士)更新日:2023年2月3日
企業間の取引において、請求書は重要な書類の一つです。取引先との信頼関係や、代金の回収にかかわるため、適切な記載項目とタイミングで発行することが求められます。近年はリモートワークの普及に伴って請求書の電子化が進んでおり、電子データとしてどのように扱えばよいか疑問を持たれている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、請求書が必要な理由や発行のタイミング、作成時の注意点や保管方法、電子化することのメリットなどについてご紹介します。
そもそも、請求書はなぜ必要なのでしょうか。また、どのようなタイミングで発行するべきなのでしょうか。まずは、これらの基礎知識から押さえていきましょう。
請求書の発行は義務ではありません。しかし、商品やサービスを提供した後に対価の回収をスムーズに行うために、発行するのが一般的です。請求書の内容が商品やサービス提供の証明でもあり、回収漏れを防ぐことにもつながります。
請求の方式として、「掛売方式」と「都度方式」という2種類の方法があります。掛売方式とは、毎月同じタイミングで請求書を発行する方法のことです。1ヶ月単位で請求するケースが多く、締日が決まっているのが特徴です。そのため、毎月取引が発生する場合や、支払いにおいて信用がある企業と取引を行う場合などに向いているでしょう。
一方の都度方式は、取引が発生したタイミングで請求書を発行する方法です。新規の取引先や、入金の確認後に納品する取引先などに向いています。
それぞれ請求書の発行タイミングが異なるため、取引先に応じて使い分けていくと良いでしょう。
請求書の発行には、エクセルやワードなどで作成する方法や、専用のシステムから発行する方法などがあります。
エクセルやワードで作成する場合は、社内でテンプレートを準備して作成するケースが多いでしょう。専用システムの場合は、データをシステムにアップロードし、一括で発行するケースが一般的です。システムによっては、発行した請求書の送付まで自動化できる場合もあります。
「請求書の発行日(請求書に記載する日付)は、その後の回収期日にも関わる重要な情報となり、「請求書が作成された日」ではなく「発行先の締め日」に合わせるのが一般的です。
もし「20日締めの翌月25日払い」であればなら、「20日」を発行日として記載し、20日までの取引分の請求書を発行します。この請求書分を取引先は、翌月25日に入金するという流れです。なお、「いつまでに請求書を送るべきか」という点に関しては取引先ごとに異なるため、事前に確認しておきましょう。
締め日とは別に、請求書の到着期日も厳密に取り決めている企業もあります。取り決めの期日までに届かない場合は、約定通りに対価の回収ができない可能性もあります。先ほど触れた「20日締めの翌月25日払い」の請求書の場合、請求書の送付が遅れ、到着が25日を過ぎてしまったら、支払いが翌月でなく翌々月の25日になってしまう可能性があります。約定通りの対価をしっかり回収できるよう、送付・到着タイミングには気を付けなければなりません。
請求書を発行する際には、次のような点に気を付けましょう。
2023年(令和5年)10月からインボイス制度が始まります。インボイス(適格請求書)とは、正確な適用税率や消費税額などが記載された請求書を表します。インボイス制度の施行後、売り手側がインボイスを発行しなければ、買い手側は仕入税額控除を受けられなくなります。そして、買い手側は受け取ったインボイスの保存が必要になります。
インボイスは、従来の請求書から記載項目が追加になっています。必要事項の記載がない請求書は、インボイスとして認められませんので、事前に内容を把握しておく必要があります。
請求書は発行側も保存が義務化されているため、控えの作成・保存を忘れないようにしましょう。
前述の通り、発行側は請求書控えの作成・保存が義務です。具体的な保存方法と保管期間は次のようになります。
請求書控えは、「紙」で保存する場合と「電子データ」で保存する場合の二つに大別されます。紙で保存する場合は、控え用として印刷したものを月別、取引先別などに分けて保存します。
電子データで保存する場合は、電子帳簿保存法により定められた保存要件を満たす必要があります。請求書発行システムを活用している場合は、システム側が電子帳簿保存法に対応しているのか確認をしましょう。
請求書控えの保管期間は、法人の場合原則7年、欠損金の繰越控除を受ける場合は10年です。個人事業主の場合原則5年、ただし消費税を納税している「消費税課税事業者」の場合は7年の保管が必要です。
法人 | 7年 |
---|---|
法人(一定の欠損金の繰越控除を受ける場合) | 10年 |
個人事業主 | 5年 |
個人事業主(消費税課税事業者) | 7年 |
昨今、電子帳簿保存法改正の影響を受けて、請求書を電子発行する企業が増えていますが、法改正への対応以外にも、請求書の電子発行には企業にとって様々なメリットがあります。では、具体的にどのようなメリットがあるのか、確認していきましょう。
請求書を紙で発行する場合、印刷してから管理者の押印をし、封筒に入れて郵便局で発送するという作業が必要でした。そのため、作成から発送までかなり手間がかかります。その点、請求書を電子発行すれば、紙の場合と違って、前述したような印刷や封入、発送の作業が不要になるため、手間を大幅削減できます。
電子データであれば、紙よりも再発行や差し替えが容易になるというメリットがあります。紙の請求書を再発行するとなると、再度印刷から発までの作業が必要になりますが、電子発行した請求書であれば、元のデータがあるため、作成時間も短縮できます。
請求書を作成後、すぐに取引先に送ることができる点も電子発行のメリットの一つです。画面一つで操作できるため、手間もかかりません。もし、「月初に請求書がほしい」という取引先がいた場合でも、電子発行であればすぐに送ることができるため、希望にも柔軟に応えられるでしょう。
紙の請求書発行は、作成、印刷、封入、郵送と工程が分かれます。工程が多くなることで、人的ミスも少なからず発生してしまいます。具体的には、封入の際に宛名ラベルとは別の取引先の請求書を入れてしまう、別の取引先に郵送してしまうといったものです。その点、電子発行であれば手作業が減るため、人的ミスが起こりにくくなります。
紙代、封筒代、切手代などのコストを大幅に削減できる点もメリットの一つです。また、請求書発行から送付までの工程が少なくなるため、人件費の削減も実現できます。
従来、経理業務はテレワークでは対応できず、出勤が必要という固定観念がありましたが、請求書を電子発行するフローに切り替えれば、テレワークでも請求書発行が可能となります。テレワークを推進できることは、会社にとっても大きなメリットといえるでしょう。
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また、最新の電子帳簿保存法やインボイス制度にも対応しているため、安心してご利用いただけます。簡単操作、かつ専用のサポートもついており、システム導入に不安のある方でも「使いやすい」との好評をいただいているシステムとなりますので、請求書の電子発行をお考えの方はぜひ一度ご検討ください。
請求書発行は、経理業務の中でも大きなウエイトを占めているものです。締め日前後の業務負担で、日常の経理業務が圧迫されている方も少なくないでしょう。電子帳簿保存法やインボイス制度の導入により、請求書発行はますます手間がかかることが予想されます。大幅な業務効率化、インボイス対応の請求書発行のためにも、請求書電子発行システム導入を検討されてみてはいかがでしょうか。
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1993年に税理士資格を取得し、「谷澤佳彦税理士事務所」を開設。近年は相続・事業承継に対する税務相談を数多く対応する。
司法書士や不動産鑑定士など他の専門家とタッグを組み、組織として企業の繁栄・事業承継をサポートすることも得意とする。
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