PDF化した領収書の有効性は?
PDFで発行するメリットや注意点・発行方法について解説

監修者:川口 拓哉(税理士)更新日:2023年1月30日

PDF化した領収書を確認する経理担当

電子帳簿保存法の改正により、領収書の取り扱いに悩んでいる経理担当者も多いのではないでしょうか。PDFで発行した領収書は法的に有効なのかという疑問をお持ちの方や、領収書をPDFで発行することにどのようなメリットとデメリットがあるのかわからないという方もいるかもしれません。
本記事では、そうした疑問を持つ経理担当者向けに、PDFで発行した領収書の法的有効性や領収書をPDFで発行するメリットと注意点について解説します。

領収書とは?

領収書は、金銭の受領を証明する書類です。法的に有効な書類なので、売上や経費の支払いの証明に使用できます。発行する側はサービスを提供しその代金を受け取ったことを、受領する側は代金を支払ったことを証明することができます。

領収書の役割

領収書には、「1つの取引がすでに完了し、金銭のやり取りも完了していることを証明する」という重要な役割があります。例えば支払う側の場合、誤って二重で支払いを求められたときに「すでに支払っている」ということの証明書として利用可能です。逆に、発行する側の場合は「財やサービスを提供して代金を○○円受け取った」ということの証明書になります。

なぜ領収書を発行するのか

領収書は正式な「受領証書」です。税務調査の際に、売上や経費の支払いを確認するための証拠書類となります。特に、税務では「第三者が発行した領収書」の効力は高いので、税務署の調査官に色々説明するよりも、見てすぐにわかる領収書の信憑性は高くなります。税務署の調査官が知りたい情報は、領収書の項目でカバーできることが多いといえるでしょう。

領収書はPDFで発行してもよいか

PDFデータ

電子帳簿保存法が注目されている中で、「領収書をPDFで発行しても本当に問題ないのだろうか」と疑問を持たれている経理担当者も多いかもしれません。特に、今まで紙の領収書に慣れてきた経理担当者であれば、PDFのような電子データが法的に有効なのか疑問に感じている方もいるでしょう。
結論から言えば、領収書はPDFで発行しても全く問題ありません。以下で、もう少し詳しくみていきましょう。

PDF化した領収書も法律的に有効?

PDF化した領収書は法的に有効です。「紙の方が信憑性は高い」ということはなく、法的な有効性からみればどちらも同じです。ただし、PDFのデータ解像度が低い場合、見読性(電子媒体に保存された内容を、権限保有者からの要求に基づき必要に応じて肉眼で見読可能な状態にできること)の観点から、領収書として認められないケースもあります。そのため、紙の領収書をPDF化して取引先へ電子メールで送る場合や、自社で保管する場合は解像度に注意が必要です。

押印は必要?

法律的に「押印が必ず必要」ということはありません。一般的に、領収書には会社の角印が押印されていることが多いという実態があります。そのため、押印がなければいけないという印象を受けますが、押印がなくても領収書は有効です。
ただし、取引先の状況により配慮が必要です。例えば、業界的に押印が必要な慣行がある場合には押印するのが無難でしょう。また、社内規定もありますので、押印の要否については事前に取引先に確認しておくことをおすすめします。もし、PDFの書類に押印が必要な場合は「電子印鑑」で押印が可能です。

原本控えの保管は必要?

原本控えの保管は必要です。紙または電子データ(PDF)で保管することが認められていますが、「紙で発行した領収書の原本控えをスキャンしてPDFで保管する」場合は、電子帳簿保存法が定めるスキャナ保存要件を満たすことが求められるため、注意が必要です。電子帳簿保存法のスキャナ保存に対応している場合は、PDFに電子データ化して同等確認(紙の原本控えと電子データが同じであることの確認)が完了した時点で紙の原本控えを破棄することができます。なお、保管期間は紙、電子データ問わず法人の場合は7年間です(繰越欠損金がある場合は、10年間です)。
また、現時点で電子データ化をすでに取り入れている企業が、過年度分の領収書の控えについても電子データ化し保存したい場合には、税務署に別途届出が必要です。
なお、発行した領収書がインボイス制度における適格請求書に該当する場合は、交付した領収書の写しを7年間保存する義務が課せられます。

領収書をPDFで発行するメリット

領収書をPDFで発行するメリットは以下の3点です。

  • 印紙税を節約できる
  • 保存・管理がしやすい
  • メールやシステムですぐに取引先に届けられる

それぞれのメリットについて、詳しく解説します。

印紙税を節約できる

紙の領収書を発行している場合、領収書の記載金額が5万円以上であれば収入印紙を貼付しなければなりません(貼付すべき金額は領収書の記載金額等で変わります)。しかし、PDFデータであれば収入印紙を貼付する必要はなく、印紙代の節約が可能です。

保存・管理がしやすい

紙で大量に保存していた領収書も、PDF化すれば保管場所に困ることはありません。また、過去のデータを検索したいとき、紙の場合だと量が多いと探すのに手間がかかる一方、PDFデータであればファイル名で検索がかけられるので量が多くても探しやすいというメリットもあります。探す時間を紙の場合より大幅に短縮できるため、業務効率アップも可能です。
また、紙の場合と違い、関係者間で共有しやすいという点もメリットです。

メールやシステムですぐに取引先に届けられる

取引先に届くまで、郵送であれば最短でも投函後1日はかかるところを、メールやシステムを使ってすぐに届けることができるのがPDFの魅力です。また、郵送の手間が省けるほか、同時に郵送代も削減できて一石二鳥です。さらに、取引先からの再発行依頼に対して、迅速に対応できます。

領収書をPDFで発行する際の記載項目

領収書をPDFで発行する場合の記載項目は紙の領収書と同じです。領収書の一般的な記載項目は次の7項目です。

領収書

① 宛名(取引先名)
② 領収書番号
③ 発行日
④ 取引金額
⑤ 但し書き
⑥ 取引金額の内訳
⑦ 領収書発行元

紙の場合、領収書の記載金額が5万円以上であれば収入印紙の貼付が必要ですが、PDFの場合、収入証紙は不要です。これらの項目を記載していれば、ワードやエクセルで作成した領収書をPDF化して使用できます。もちろん、紙の領収書をスキャンしてPDF化して発行する方法でも問題ありません。ただし、紙でもPDFでも必要項目が抜けている場合は、適正な領収書として認められません。抜けている項目がないか必ず確認しましょう。

領収書をPDFで発行する際に気を付けること

領収書をPDF発行する際の注意点

領収書をPDFで発行する場合、PDFで領収書を送ることを取引先に伝え、確認をとっておく必要があります。なぜなら、取引先の経理担当者のパソコンでPDFの閲覧が困難な可能性はゼロではないためです。

また、領収書を重複発行しないように気を付けましょう。これは紙の領収書でもPDFの領収書でも同じですが、重複発行してしまうと取引先が誤って経費を二重計上してしまうなど、取引先に迷惑をかけることになってしまいます。さらに、領収書を重複発行してしまっていた場合において、取引先に税務調査が入り、その流れで自社に反面調査(税務調査の対象となった法人や個人事業主の取引先に対する調査)が入ったときは、つじつまが合わないことを指摘されるリスクがあります。そうなると、反面調査から自社の税務調査に発展し、自社の申告内容が正しいかどうかを税務調査官にチェックされることとなる可能性があるのです。自社の税務調査に発展してしまうと申告内容によっては追徴税額を課されることになるため、領収書の重複発行が引き金になって自社の税務調査に発展しないためにも、領収書のPDF化業務には慎重に取り組んでください。

領収書をPDFで発行する方法

領収書をPDFで発行する方法には、以下の3つがあります。

  • 手書きの領収書をスキャンしてPDFにする
  • Excel(エクセル)で作成してPDFで保存する
  • 電子帳票発行システムを使用する

どの方法でも、手書きで郵送している経理担当者にとっては業務効率化が図れるでしょう。自社に合った方法を見つけるため、これらの方法について詳しく解説します。

手書きの領収書をスキャンしてPDF化する

現在手書きで領収書を作成している企業にとっては、手書きの領収書をスキャンしてPDF化する方法が、もっとも取り入れやすいでしょう。業務フローを大きく変更すると、定着までに時間がかかったり、マニュアルを準備する手間などが発生します。業務フローの変更が不要というのはメリットです。一方、デメリットは領収書自体が手書きのため手間がかかり、さらにスキャンの手間もかかることです。1件や2件であればそれほど手間ではないかもしれません。しかし、これが10件や100件と増えれば、それだけ手書きとスキャンが同時に増えます。仮に1件3分かかっていたとしたら、10件で30分、100件で5時間費やすことになります。これを月末月初の繁忙時期に行っていては、なかなか効率化は図れません。

Excel(エクセル)で作成してPDFで保存する

手書きの手間がなく手軽な方法です。しかし、手書きではないものの1件ずつ発行する必要があります。そのため、件数が少なければ手書きより有効的な手段ですが、件数が増えれば手書きと同じく入力に時間がかかるでしょう。

電子帳票発行システムを使用する

件数が多くても一括発行できる点がメリットです。システムによっては「数回クリックするだけ」という簡単な操作で簡単に領収書が発行できます。手間のかかる単純作業を削減することによって領収書発行業務の効率化を推進できれば、経理担当者は浮いた時間をコア業務にあてることができる上、残業が減ることから働き方改革が進みます。
反対に、デメリットはシステムを利用するので費用が掛かる点です。ただし、電子帳票発行システムを利用することで紙代や郵送代をカットできるため、多くの場合システム導入の方がトータルでコストカットできます。またシステムによっては領収書だけでなく請求書や納品書の発行もできるため、帳票類をまとめて電子化し、業務効率化とコスト削減の両方を実現できます。

領収書(PDF)も発行できる「楽楽明細」

「楽楽明細」は領収書や請求書など、あらゆる帳票を電子発行できるシステムです。領収書の手書き・印刷・封入・発送の作業がゼロになるため、手間やコストを大幅削減できます。操作も簡単で画面もわかりやすいため、システムに抵抗がある方でも安心して利用することができるでしょう。

また、電子帳簿保存法にも対応しているため、難しい法律の知識がなくても、法令に準拠した運用が可能です。

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まとめ

領収書はPDF化したものでも法的に有効です。さらに、電子帳簿保存法への対策を考えれば、領収書はPDF化する方が良いといえるでしょう。ただし、取引先への事前確認が必要であるなど、即座に対応できるものではありません。また、同じPDF化でもいくつかの方法があり、自社に合ったものは体制や状況等によって異なります。

ワードやエクセルを利用した領収書のPDF作成より、システムを導入することで更に効率よく領収書発行ができます。電子帳簿保存法の改正をきっかけに領収書発行業務の見直し、そして他業務への対応も含めてシステム導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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監修者税理士
川口 拓哉

税理士(名古屋税理士会)。2017年の税理士試験で官報合格。

法人及び個人の確定申告書作成、協会における相談対応、Webメディアでの記事執筆や監修などの経験を有する。川口拓哉税理士事務所代表。

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